2012年
厚生労働省は、2012年の認知症高齢者数が推計で305万人に上ると発表しています。これは65歳以上の人口の約10%を占め、従来の予想を上回るペースの増加で、2020年には500万人を超える見通しだそうです。認知症高齢者のケアは大きな社会問題となっています。
従来、認知症になられた方は、精神病院か特別養護老人ホーム等、住み慣れた地域から離れた、自宅とは全く違う施設へ入所されていました。“お父さんお母さんを施設には入れたくない。”そう考えられておられた御家族もたくさんいらっしゃったのではないでしょうか。
認知症は治りません。それどころか徐々に悪化しながら残りの人生を過ごさなければなりません。では認知症になられた方は、生きる希望も楽しみもなくさなければいけないのでしょうか。いいえ、決してそのような事があっていいはずがありません。たとえ自宅に住めなくなっても、その後の安心と尊厳ある人生を保証しなければなりません。生きがいのある生活を送っていただかなければなりません。
私ども笠松の郷は第二の自宅として、安心できる生活を保障し、生きる活力を生む場でなければならないと考えております。10周年を迎えた今、これまで以上に質の高いケアを提供できる様、職員一同努力していきたいと考えております。馴染みのスタッフによる行き届いた生活介護が、居心地のよさを生み出します。その笑顔は職員のモチベーションを高め、御家族の安心と信頼につながるでしょう。これからもグループホーム笠松の郷は笑顔の絶えない家庭でありたいと願っております。
9月13日 日本慢性期医療協会の20周年記念祝賀会が行われました。
会場には、衆参議員や厚生労働省幹部のほか、関係団体の役員ら総勢700人以上が駆け付け、盛大な会となりました。
院長の有吉は設立当初より活動に参加しており、その功績を称えられ表彰されました。現在では協会での活動は若い副院長にバトンタッチしております。
社会保障と税の一体改革にも見られるように、わが国の医療政策は大きな転換点に来ております。介護療養病床は老人保健施設への転換が進められております。しかし、介護療養病床は重度者や認知症の受け皿として必要だと訴え続けてまいりました。東京での勉強会や意見交換会などへの参加は大変ですが、現場の意見を医療政策に反映していただくには、政策立案者へ声が届く距離にいて、継続的な活動が大切だと考えております。
”平穏死”10の条件
兵庫県尼崎市で在宅診療を主とされ、多くの患者さんを在宅で看取られている長尾和宏先生から自書を頂きました。自宅で看取ることへ希望と利点、問題点が非常に分かりやすく書かれておりました。いつかは必ず来る死に対してどういう意識を持つことが必要なのかがよくわかります。ご本人やご家族の満足できる死とはどのようなものかを考えさせられます。お勧めの1冊です。
平穏死とは満足死(納得できる最後)のことです。
わが国では7割の人が自宅での最後を望みながらも最後を病院のベッドの上で迎えられております。病院では命を助けること、長らえることに重きをおいているため、平穏死とは言えない状況になることが多いように思います。しかし、施設や自宅では死に対する備えが不十分であり、最後は病院を頼るのが現実だと思います。国の方針も”病院から在宅へ”であり、自宅での最後が理想ではありますが、なかなか在宅での看取りは進んではおりません。
当院の介護療養病棟は終の棲家にできる介護施設でありながら、病院でもあるために24時間の安心できる医療を受けることができます。”平穏死できる病院”ではないでしょうか。”自宅ではない在宅”として住み慣れたMy roomでご家族と一緒にご満足いただける最後をお迎えすることができるようにと考えております。
社会保険直方病院の新病院開設記念式典に参加しました。高齢化社会に向けて我が国の医療政策は、必要な医療を効率よく行うようなシステム作りを進めており、急性期、慢性期、介護期と分けて考えて医療費の無駄をなくそうとしているようです。急性期病院はアメリカ並みに入院日数を短くしないといけないようになるでしょう。その後の受け皿は当院のような療養病床となり、今までよりも高度な医療機能で重症者にも対応できる能力が求められるようになることにより、今後は一層、直方病院のような急性期病院との連携が大切になってくると思います。大変ですが患者様の期待に応えられるような良質な慢性期医療を提供することが当院の使命と考えています。